ワガママ御曹司との出逢い

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大きく伸びをして芋虫のようにモソモソと万年床から這い出すと、カーテンを勢い良く開け放った。 窓の外に広がる空は、眩いばかりに晴れ渡っている。特に出かける用はないけれど、たまには散歩をしてみるのもいいかもしれない。そんなことを考えながら、覚束ない足取りでリビングへと向かった。 何を食べようか、冷蔵庫を開けてみるが、その中は買い物に行っていないせいで悲しくなるほどにすかすかだった。あまりにもすかすかすぎて、逆に清々しくなる。萌黄はあたりを見回し、幸いにも残っていた食パン1枚をトーストにして、それに苺ジャムをたっぷり塗ったのを朝食とした。この場に小うるさい母がいれば、そんなにジャムなんか塗ったら糖尿病になるなどとわめくのだろうが、死ななければ糖尿病でも鉱石病でも何に侵されようが構わない。 紙パック入りの野菜ジュースとトーストを手にして、テーブルにつく。そして、いつも何となく観ている地元のニュース番組にチャンネルを合わせた。 小さい画面の中では、清楚な雰囲気の可愛らしい女子アナウンサーが何やら取材をしていた。実家から譲り受けた古いテレビゆえ、いかんせん音量が情けない。萌黄は音量を最大にして、アナウンサーの取材に半分寝ているような状況で耳を傾けた。     
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