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自分の与えている情報で画面の外にいる女子高生の皮を被った怪物を覚醒させてしまったことなど露ほど知らないアナウンサーは、その涼しげな表情を崩すことなく、大袈裟なほどの身振り手振りを交え滔々と話を続けていく。
「そしてなんて言っても、碑の最後には約1000年後の今頃此岸に再臨する、という主旨の言葉が刻まれているんですね!義経公が生きた時代の暦と現在の暦を照らし合わせると、それが今日であるというのが研究でわかりました。テレビの前の皆さん!もしかすると今日、運が良ければ義経公に出逢えちゃうかもしれないですよ?今日は絶好のお天気ですし、義経公ゆかりの地に足を運んでみるのもいいかもしれませんね。以上、文香の歴史クローズアップのコーナーでした!!」
……いやぁ、これは歴史好きにはたまらないんじゃないんですか?ねえ鈴木さん。
はい、源義経といえば、日本を代表する英雄ですからね。悲劇のヒーローというか。日本人で名前を聞いたことがない人なんていないんじゃないでしょうか。
そうですよね!歌舞伎や能の題材にしても、必ずと言っていいほど彼が登場しますもんね。
中継が終わり、スタジオのアナウンサー、スペシャルゲストなどが意見を交わし合う。
一方の萌黄は、津波のごとく凄まじい勢いで情報を詰め込まれすぎたせいで、もはやフリーズしてしまっていた。
「会える…だって?」
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