第三章 誰よりも君を

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「……………。」 「で、…彼に会ったんですか?傷つけたと思うのであれば、ちゃんと謝ったほうがいいですよ」 「はぁ…。だよな」 「まぁ、それは当然ですが、ボク個人とすれば…」 「………?」 「ボクだったら、仮に赤の他人でどうでもいい人にだったら、敢て自分の辛い過去を明かす気にはならないですね…。彼は…先輩に知って欲しかったんじゃないのでしょうか?」 「………………」 ***********  仕事帰り、間もなく深夜になろうとしていた頃、輝也はふらりと翔が勤めるコンビニに寄り、外から店内を覗いていた。  今日は遅い勤務なのだろう。レジでいつものように客に応対している翔が見える。すぐ目の前の光景のなかに、自分は今そこへ入っていく勇気がない。  翔の過去を抉り出したことで、彼に嫌われてしまっているとしたら、何故か想像を絶するような胸の痛みを感じてしまう。まるで自分は極悪人ではないか。そう思うとどうしても入店を逡巡せずにはいられない。 「?」  そんな時だった。店に入ることを躊躇っている彼の後ろを通り、ふいにフルフェイスのヘルメットを被ったままの男が一人、コンビニの店内の最後の客とすれ違いにドカドカと入っていった。  すぐに輝也は嫌な予感に襲われる。 (…………まさか?)
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