裏切りの魔神とその配下ならびに勇者のはなし

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──── 「ほらなんか変な空気になっちゃったじゃん! 人がせっかくそれっぽく出迎えようと思ってキャラ作ったのに! 台無しじゃん! 勇者くん唖然としちゃってるじゃん!」 「ナニ様が変な茶々いれるからでしょ」 「私のせいなの!? なにその冷めた目! 部下のする目じゃないよね!?」 「ないわー」 「ない」 「ナニ様そういうとこあるよね」 「数に任せて私が悪いみたいにしてもダメだからな!? わかったじゃあいいよ、百歩譲って途中まで、ウィルナニーダ様であられられ……あらせられるぞ! まではいいよ」 「噛んだ」 「噛んだな」 「絶対噛んだ」 「うるさいな! はいはい噛みました!」 「顔真っ赤」 「元が青白いだけに顕著」 「うるさい! で! 『あらせられるぞ!』まではいいの!」 「はい」 「はあ」 「その次! なに!? 『略して!』って!」 「?」 「……?」 「…………?」 「なんだその無垢な顔! 分かるだろ! 略すなよ! あの流れで略称まで言う奴聞いたことないだろ!」 「ない?」 「ないかな?」 「ないかも?」 「ないんだよ!!」 「あっでも激情と憤怒のエンライカシュ様は嬉々として取り入れてたよね」 「あー知ってる知ってる。略称『イカ様』にしてみんなに呼ばれる度にゲラゲラ笑って喜んでるよね」 「聞いたことありましたよナニ様」 「ライカは馬鹿だからでしょ!? 大体それ吹き込んだのアンタたちでしょうが!」 「うわっナニ様ひどーい」 「偉大な先輩魔神に向かって馬鹿だなんて」 「ナニ様ですか」 「そ、れ、だ、よ!!」 「?」 「……?」 「…………?」 「その! 用! 法! が! イヤ! なの!」 「?」 「……?」 「…………?」 「わかっててやってるよねきみら!? 大体さ、なんでウィルナニーダの略称が『ナニ』になるの!? ウィルナでもニーダでもいくらでもマシなとこで切れたじゃん! なんでよりによってそこ!?」 「いえ、僕たちも最初はそういう略称を考えてたんですよ」 「でも悔恨と焦燥のベルゼルエル様に相談してみたら『中途半端かよ!』って怒るから」 「だから『ナニ』にした?」 「はあ、まあ」
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