act1-story2:俺が教えてあげよう、この事件の真相を

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「…彼女から聞いた亡くなる直前の様子も虚血性心不全の特徴と似ていたんです。 なのでこう判断しました。つまり彼女は社会の歪みの犠牲者となってしまったわけです」 嵯峨は尊敬の視線と共に、畏怖の視線を向ける __あれだけの短時間でここまで持ってくるとは… やはり恐ろしいな、この男は…… 「まぁ他にも似たような症状なんてたくさんありますから、あくまで可能性の一つとして捉えてください」 私からは以上です、と先程まで言葉流暢に話していた青年とは別人のように無邪気に笑う そこで嵯峨は水をかけられたように我に返る 「…今から本捜査だ。 おい!お前ら、遺体を調べるぞ!」 嵯峨は部下達を連れて遺体の方へ向かった __これで解決、か……? いやでもさっきアイツ、社会どうのこうのってのと 恋慕がどうって言ってたような…… 静斗は先の青年の言葉を脳内で反響させていた_ そして、 その場に取り残されたのは 第一発見者の女性と、静斗、そして黒髪の青年__ 特に仲の深いわけでもない三人には沈黙が流れるのが当然ではあった が、一人その沈黙を破る者がいた 「_さて、と…じゃあ最後の謎も解いておこうか?」 黒髪の青年は再び女性に向き直る 静斗はその様子を不審に思ったが、-最後の謎- というワードが頭に残っていた 「キミに聞きたいことがあるんだ。 キミが花屋の前を通った時、他に大勢の人がいたはずだね? さっき周りにいた人々が証拠だ」 女性はキッ、と眼力を強くして青年を睨みつける 「……それが何だって言うんですか?」 「おお、怖い怖い。 そんなに睨んだら、可愛い顔が台無しだよ?」 明らかに挑発ととれるような発言だったが、 女性は焦ったように手を握りしめていた 「じゃあ、ま、一応聞いておこうか」 青年は一度目を閉じ、再びゆっくりと開ける 青年の軽く赤みがかかった瞳は、まるで研ぎ澄まされたナイフのようだった 「他にも人がいたのにも関わらず、キミはどうして率先して第一発見者(・・・・・)になったんだい?」 女性はその瞳を恐れるように身震いした がしかし、それからは逃げられないように感じた
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