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「ねぇ香奈!仕事終わったら飲み行こうよー」
「えぇ、また?」
「いいじゃーん、愚痴聞いてよ!」
「…まぁ、私なんかが友里の役に立てるなら……」
「『なんか』じゃないよ!!
香奈は私の自慢の友達なんだから!」
___私と香奈は高校時代からの親友でした
親友になったきっかけなんて、本当に些細で、
教室に一人でいた香奈に声をかけたのが最初でした
…香奈は私の悩みをよく聞いてくれて…
……本当に大事な友達でした
あの日も二人で飲みに行ってて……
「…ねーぇ、私と同じ部署のさぁ……加藤さん…恋人いるのかなぁ?」
「え……それ、は…どういうこと……?」
「……香奈だから言うけどさぁ、私、入社したときからずっと加藤さんのこと……好き、なの」
「そ、そうなんだ。
…きっかけはなんだったの?」
「入社したてで私がミス連発しちゃったときに、
『大丈夫、誰でも最初は失敗する』って頭撫でてくれたの!……ありきたりなセリフだったけど、
嬉しかったなぁ……」
「そっか……」
___それからの香奈は何故か少し素っ気なくて……
でも、ある日聞いてしまったんです
「あっ!!加藤さんだ!…やっぱかっこいいなぁ」
「なに、友里アンタ、加藤さん狙ってんの?」
「…なによぉ、渋いとか言うつもり?」
「じゃなくって…、婚約者もち狙うとか勇気あるなーって」
「…………え?」
「え、ってアンタ岡崎香奈と仲良いんでしょ?知らなかったの?」
「な、なんでそこで香奈がでてくるの?」
「え…だって……」
_____加藤さんの婚約者は岡崎さんだもん
__同僚から聞いたさりげないこの一言で、
私と香奈の溝はどんどん広がっていきました
私は香奈を出来る限り避けていたし、相手もそうだった……
……許せなかったんです
あの時、私が相談をしたとき、香奈がどんな気持ちでいたのかを考えると…
そのあと彼女が結婚するということを風の噂で聞きました
……結婚での退職を良く思わない上司からパワハラや時間外労働を強いられていたことも
部署が違うのでそれこそ毎日は見ませんが、
たまに見かける彼女は前よりはるかにやつれていました
けれど私は声をかけることができず……
いいえ、かけようとしなかったんです
それどころか「ざまあみろ」くらいの気持ちはあったと思います
あなただけ幸せになるなんてずるいよ、なんて……
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