理由がありませんっ!

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   深月を降ろしたあと、陽太はゆっくり船を進めた。  案の定、しばらくすると、特に着替えもせずに、自転車に飛び乗ったらしい深月が海岸沿いの道を走り出すのが見えた。  だが、深月は、すぐに陽太の船に気づき、全速力で漕ぎ始める。  ……だから、何故、追い抜こうとする。  陽太の船は軽く深月を追い抜いていったが、深月は更に必死に漕ぎ始める。    あんな死に物狂いで追いかけられると、熱烈なラブコールを送られてる感じだが、たぶん、違うな……。  ただの負けず嫌いなのか。  いや、ただの船好きか?  と思っている間に船は会社の港に着いていた。
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