理由がありませんっ!

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 な、何故、こっちを睨んでるんですかっ。  金曜日、なにか仕事でミスしたろうか。  いや、総務の私のミスで、支社長秘書がこんな睨むことってなんだ。  思い当たる節はな……、と思ったとき、陽太の顔が頭に浮かんだ。  まさか、いつの間にか、昨夜のことを聞きつけて。  私のことを支社長に群がるハエ、みたいな感じに思ってるとかっ?  いやいや。  昨日の今日で知りようがないよな、と思ったとき、由紀が、 「あら、杵崎、居たのー。  お疲れー」 と話しかけたので、杵崎の視線にフリーズししていた深月は、今だっ、とばかりにぺこりと頭を下げて、逃げ去った。  ――が、実は、深月の推理は半分当たっていたのだ。
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