支社長室に神が舞い降りました

108/112
前へ
/485ページ
次へ
   月曜日。  いつものように船と競争しながら、深月は職場に向かっていた。  陽太が笑ってこちらを見ているのが見えた。  昨日のキスを思い出し、赤くなる。  いや、頬になんだが……。  ふと見ると、駐車場に杵崎が居た。  車の陰に立っている。 「おはようございます。  乗っていきますかー?」 といつもの癖で言うと、杵崎はいつものように、 「いや」 と言ったので、そうですかー、と行こうとしたのだが。 「こっちに乗れ」 と杵崎が言ってきた。 「は?」 と深月は自転車に跨ったまま、訊き返す。 「これに乗れ。  俺も漕ぐ」 と言いながら、杵崎が車の陰から現れた。  その辺の道路で走ってるのはなかなか見ない二人乗り、タンデム自転車とともに。
/485ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3900人が本棚に入れています
本棚に追加