理由が必要か?

19/150
前へ
/485ページ
次へ
   細い山道を通り抜け、たどり着いた山間(やまあい)にひっそりとその村はあった。  ……村。 「いや、温泉地じゃないですか? 此処」  深月は今通り過ぎた看板を振り返りながら、そう訊いてみた。  暗かったので、ぱっと見、山間の村に見えたが。  よく見れば、立派な観光地ではないか。  ……禊をしに来たんじゃなかったのか? 「この山の何処かにすごい滝があって、そこで滝行をしたあと、温泉であったまるとか?」  そんなぬるい修行でいいのかと思いながら訊いてみたが、 「まあ、これだけの山に囲まれてるんだ。  何処かにあるかもな、すごい滝」 と陽太はトボけたことを言う。
/485ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3900人が本棚に入れています
本棚に追加