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陽太は壊れ物を扱うように、深月をそうっとベッドに降ろす。
二人で眠った思い出のベッドだ。
……いや、肝心なところの記憶はないんだが、と思いながら、陽太はベッドの側にしゃがみ、寝ている深月の顔を眺めた。
そのうち、深月が体勢を変え、こちらに顔を向ける。
小さな唇を少しだけ開けて眠る深月の顔は、神々しいほど愛らしい。
……可愛い。
俺だけがこんなに可愛いと思うのだろうか。
それとも、誰でも?
誰でもだったら、今すぐこの船で深月を連れて逃げねばっ、と陽太は真剣に考える。
杵崎が居たら、自分も深月を好きなくせに、
「そこまでの女ですかね?」
と言ってきそうだな、と思いながら。
それにしても、この状況……。
俺は深月に、なにかしてもいいのだろうか、と迷いながら、陽太はベッドの周りをウロウロしていた。
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