理由がありませんっ!

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 由紀ほどの派手さはないが、純も洗練された美人だ。 「……なにがいいんですか。  おもいっきり緊張しましたよ。  っていうか、関谷さんたち、普段、杵崎さん苦手って言ってるじゃないですか」 と深月は言ったのだが。 「そうなんだけど。  イケメンはイケメンじゃん。  ちょっと神経質そうだけど。  それに……」 と言った純は周囲を見回したあとで、小声で言ってくる。 「杵崎さんって、ちょっと訳ありで此処に居るって、前の支社長が言ってるの訊いちゃったんだ」 「えっ?  訳ありってなんですか?」  そんなに大きな声でもなかったのだが、声がデカイッと言った純は、近くに寄れと手招きしてきた。  二人で更に身を乗り出し、カウンターの上で小声で話す。
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