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夜と夕の境で空がグラデーションになる頃。
ひーっ、人事の手伝いしてたら、遅くなったーっ、と深月は必死で自転車を漕いでいた。
今日は大祭で舞う舞の練習があるのだ。
急いで帰ってご飯食べてーと算段しながら海岸線沿いを走る深月は目の端になにかを捉えた。
並走しているクルーザーだ。
どう考えても、支社長の船だな、と思い、自転車を止める。
すると、向こうも少し進んで止まった。
「一宮」
と操舵室からデッキに出てきた陽太が呼びかけてくる。
「ちょっと乗れ。
送ってってやる」
「私、自転車です」
そして、家は街中です。
どうやって送る気だ、と大きなクルーザーを見ながら思う深月に、ハンドマイクなしでもよく通る声で、陽太は言ってきた。
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