3885人が本棚に入れています
本棚に追加
/485ページ
そこでいきなり、則雄が、
「そうだ、お前、今夜、暇か?」
と言い出して、深月はぎくりとした。
「今夜、神楽の稽古があるんだ。
深月も来るし、酒もあるぞ、ちょっと来ないか」
何故、私と酒がワンセット、と思う深月の横で陽太が、
「……もしや、神楽の舞い手を探してますか」
と則雄に訊いていた。
「わかってるのなら、話が早い。
いやいや。
万蔵さんの役を他の奴がやることになって、ものすごく体力がいる役が空いたんだよな。
お前ならいけそうだ」
と体格のいい陽太を上から下まで確認するように見たあとで則雄は言う。
「いや、お話ありがたいんですが。
俺は……」
と陽太が断りかけると、則雄は、
「でもお前、万蔵さんの見舞いに一緒に来るなんて、深月と付き合ってるんじゃないのか?
深月と結婚するのなら、お前もこの土地の人間だ。
十二年に一度の大祭だぞ。
ちょっとは協力しろよ~」
と言い出した。
最初のコメントを投稿しよう!