舞を舞うには、理由が必要だ

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「それにしても陽太。  よく深月が捕まえられたな。  こいつは、ぼーっとしていて、少々誰かがアプローチしてても気づかない奴なのに」  いつ、誰が私にアプローチしましたか、と深月は思っていたが、則雄は、ひひひ、と笑って言った。 「まあ、深月をよろしく頼む。  ちょっとぼんやりしてて、家事も苦手で、底なしに酒を呑むし、色気のカケラもないが……」  そこで則雄は黙り、天井を見上げて考える。  全然褒めてない、と気づいたのだろう。  則雄は穴があくくらい病院の天井を見つめたあとで、 「……まあ、美人だし、裏表のない性格だから」 とようやく深月の美点を思いついたらしく、言っていた。
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