舞を舞うには、理由が必要だ

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「いや、ほんとに、いい子だから。  子どもの頃から頭もトップクラスで。  忘れ物もトッ……。  ……先生によく目をつけられて――」  目をつけられては、よくない理由でだ、と気づいたのだろう。  則雄はまた、そこになにがあるのですか、というくらい天井を眺めたあとで、 「深月の母ちゃんは、本当に可愛くて優等生だったんだがな」 とそこを褒めてもあまり意味がないことを呟いたあとで、 「ともかく、美人で裏表のない奴だから、よろしく頼む」 と最早、そこしか美点がないかのような感じに言い、去っていった。  ……ノリさん、と、 「来たぜー、おじさんー」 と万蔵の病室に入って行く則雄を(とが)めるように深月は見る。  横で陽太が呟いていた。
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