舞を舞うには、理由が必要だ

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「ああ、遅れてくるみたいだぞ。  そうそう」 と則雄はにんまり笑い、 「舞い手、見つかりそうだぞ、清ちゃん」 と言ってくる。 「そうなんですか?」 と訊くと、則雄は、 「深月の彼氏がやってくれそうだった」 と言う。  ……深月の彼氏、とは誰だ、と思う清春の前で、まだ律子と万里は、 「万里っ、あんた、もともと茶髪のくせに、髪黒くしてんの、清春の神社に嫁に行くつもりだったからでしょ?  もうやめなさいよっ」 「いいじゃないのよ。  似合うんだからっ」 と揉めていたのだが、 「深月の彼氏ってなにっ?」 と二人同時に身を乗り出してきた。  こういうときは息が合ってるな、とつい思ってしまう。
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