Damned confession.

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 指先が少しすべっただけだ。  ナックルダスターを外してポケットに入れようとしたとき、舗道に取り落としてしまったのは。  合金が路面に弾かれる、かん高い音が響いた。  俺の隣を歩くニジンスキーがすかさず舌打ちしやがった。 「集中力が低下しているようだな。そんなことでは命をなくすぞ。気を引き締めろ」 「ちょっと物を落としたぐらい、何だよ。大げさなおっさんだぜ」  俺は舌打ちし返し、身をかがめてナックルダスターを拾い上げた。  ――これは大事な商売道具だ。借りた金をいつまで経っても返そうとしないタチの悪い債務者を説得して回る仕事に、ナックルは不可欠だ。毎日平均一、二回は、わからず屋をタコ殴りにしなくちゃならない。素手でやってたんじゃ、拳がいかれちまう。  ナックルがあれば、手の骨に響く反動は逃がすことができるが。  悲鳴、悪罵、泣き言。そういったものを延々と聞かされるメンタルへのダメージは軽減されない。  まあ、つまり、俺は周りに思われているほど冷血漢でもないってことだ。  ビルの谷間から、遠い青空を見上げた。  日差しが眼球を貫き、鈍い痛みを深奥に刻む。     
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