Damned confession.

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 俺の隣を行くニジンスキーも、人相の悪さでは「教授」にひけをとらない。どんな下手な外科医の手にかかったのか、その顔はひきつれた縫合跡だらけだ。「フランケンシュタイン」という検索ワードで探すとヒットするような顔だ。  この男はユロージヴイ金融のナンバーワンの取り立て屋だが、回収成績が良いのは、単に顔が怖いからだけではない。腕っぷしは強いし、ストリートの事情にも通じている。普通に優秀な男なのだ。  おまけに仕事熱心だ。  初めて会ったとき、俺をしげしげと眺めて、 「おまえ……かわいらし過ぎるな。そんなんじゃ客になめられるぞ。この稼業を長くやるつもりなら、顔面を半分ぐらい薬で焼いて、箔をつけた方がいい。なんなら俺が焼いてやろうか?」 と迫ってきたほどだ。まるっきり、真顔で。  そういう、ちょっとついていけない面もあるが、少なくともこのおっさんの職務に対する姿勢は信頼できる。  俺たちはチームとしてうまくやっていた。逃げ回る厄介な債務者を見つけ出し、しめ上げ、ぶちのめして、順調に貸金を取り立てていた。     
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