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 高嶺綾子は遺体を見たショックからか、ストールに身を包み怯えた様子で秘書室のソファに腰掛けていた。 「少しお話宜しいでしょうか。」  永瀬は高嶺に警察手帳を見せ、穏やかな口調で声をかけた。 「…はい。」  高嶺は自分を落ち着かせるように深く呼吸し、小さな声で応えた。永瀬と井口は高嶺の向かいのソファに腰掛けると、高嶺に聞き取りを始めた。 「あなたは今日、何時頃出社されましたか?」 「7時45分頃です。」 「それ以前に出社した社員はいましたか?」 「いえ、おりません。ですので社長が社長室にいらしたことも知りませんでした。我が社の出社時刻は8時半ですから。」 「遺体を発見したのは何時頃ですか?」 「8時半を過ぎた頃だったと思います。」 「なぜ社長室へ入ったのですか?」 「今日社長はクライアントとの食事会に参加する予定でしたので、その前に美容院へ行きたいと社長からお電話があったため、美容院へ予約を取った後、社長をお迎えに。」 「電話?それは何時頃あったんですか?」 「確か…私が社長室へ行く15分程前だったかと。」 「15分前!?その時刻にはもう既に森内社長は亡くなっています!」  井口は高嶺を咎めるように言った。
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