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そして、その鋭い爪が、彼女の体を切り裂こうとした。
アンはその攻撃を右腕で受け止める。
それなのに、血の一滴も出ていない。
それは――。
アンの右腕が機械だったからだ。
彼女は、生まれた国――ストリング帝国で仲間とともに軍のウイルス実験に使われた。
その細菌の名はマシーナリー・ウイルス――。
ストリング帝国の科学者たちが開発した、人体を侵食する細菌。
このウイルスは、体内で一定の濃度まで上がると成長し、宿主の身体を機械化する。
機械化した者は、人体を超えた力と速度で動けるようになるが、宿主は自我を失い、ストリング帝国の完全なる機械人形へと変わってしまう。
アンは、その実験で自分の部隊の仲間たちが機械化し、互いに殺し合うことを強要された。
13歳で両親と妹を合成種キメラに殺されたアン(そのときにグレイに助けられ、その後に育てられた)。
それからの3年間――。
現在16歳のアンは、キメラへの復讐を糧に生きていた。
そのせいか、いつも無愛想だった彼女にとって、部隊の仲間は数少ない優しくしてくれた理解者たちだった。
部隊の仲間は、アンにとってグレイとニコと同じように家族も同然。
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