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その理由は、彼女も、そして風を操れるシックスにもわからない。
吹き飛んだ氷熊を追いかけて、アンが機械の右腕を前に出した。
アンの感情と呼応するかのように、腕から稲妻が迸る。
そして、頭部を掴んで電撃を喰らわせると、氷熊は焼け焦げ、完全に動かなくなった。
「アン、ケガはないか?」
キャスがその傍へと近寄って来る。
「大丈夫だ、それにしてもキャス。少々じゃなかったのか? ここらの木々が折れてしまっているぞ」
「そう言うな。大技は加減ができないんだ」
「じゃあ、早くコントロールできるようにならなきゃ」
「うぅ……わかっている。しかし、解せんな。お前、そんなに木が好きだったのか?」
キャスの質問に、アンは無愛想に返すと、先ほどの黒い羊のほうを振り向く。
「大事、木々や自然は大事……」
そして、小さく呟いた。
だが、そこにはもう黒い羊の姿はなかった。
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