2章

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「忙しい?」 アンの言葉に、マナが首を(かし)げながらオウム返しをした。 「あとで詳しく話すよ」 そして、テントの中に入ると――。 そこには豊かな白い毛で(おお)われた子羊――。 電気仕掛けの羊ニコが、アンの顔を見て泣きながら飛び掛かってきた。 「ニコ、元気だったか。テントでまた再会するのなんてこれも何かの啓示(けいじ)かな」 ニコはよほど嬉しいのか「メェ~」と鳴きながら、アンの顔をペロペロと舐めている。 そんな様子を見て、マナもキャスもつい微笑んでしまっていた。 「よ~し!! じゃあアンに会えたし、あたし、ご飯はりきっちゃう!!!」 マナが天井に手を挙げて叫んだ。 「そうか、そいつは助かる。このところカエルやヘビの燻製(くんせい)ばかりでまともな食事をしていなかったんだ」 横にいたキャスが嬉しそうにそう言うと、マナは卑猥(ひわい)な笑みを浮かべ始めた。 「ムフフ」 「なんだ? 急に気持ち悪い顔して?」 キャスがマナのほうを向いて訊くと、突然彼女の着ている服を脱がせようとした。 「お、お前は!? 急に何をしようとしてる!?」 「ムフフ、とりあえずお風呂に入りなさ~い!!!」 「バ、バカやめろ!! 服を脱がすな!!!」     
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