4章

2/4
55人が本棚に入れています
本棚に追加
/246ページ
そのときのアンとキャスの冷たい表情を見て、ニコがマナに寄り添いながら震えている。 マナは立ち上がり、両手をブンブン振って、自分が食べていないことを主張していた。 だが、2人は――。 「こいつはあれだろう、現場を最初に見つけたということで、さも自分は犯人ではないアピールってやつだ」 「なるほど。さすがキャス。名推理だな」 「まだ進めてる!? あたしじゃないよぉ~!! 信じてぇ~!!!」 そんなこんなでドタバタしていると、ドラム缶風呂がある奥のほうから物音が聞こえた。 アンたちは、すぐに新犯人だと思い、そちらへ向かうと――。 「あっ! お前は!?」 そこにあるものを見て、アンが叫んだ。 そこには、先ほどここに来る前に見かけた、豊かな黒い毛で(おお)われた子羊がいた。 その黒い羊の口の周りには、食べカスがついていて、おまけに下品にゲップまで出している。 誰がどう見てもこいつが犯人だと、アンたちは思った。 「ほら、あたしじゃなかったでしょ!!!」 マナが、頬を(ふく)らましてプンプンと怒り出した。 キャスは苦笑いしながら申し訳なさそうに謝ったが、アンは無愛想に言葉を返す。 「いや、だってマナはいつも食い意地が張っているから、それくらいやるかなって」 「あたし、そこまでじゃないよッ!!!」     
/246ページ

最初のコメントを投稿しよう!