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雪の大陸での朝は夜と見紛うような暗闇から始まる。
真っ暗な中、真っ白な雪景色に、2人分の足跡が続いていた。
「今日は大量だったな」
「ああ、マナの嬢ちゃんが喜ぶぜ」
彼らは、この雪の大陸にある反帝国組織バイオ・ナンバー駐屯地に所属している兵士だ。
2人は食料を確保のために用意した獣用の罠を確認しにいって、その帰りだった。
何故まだ朝の暗い時間を選んだのかといえば、この時間帯が雪の大陸に生息する凶暴な獣たち――。
雪虎や氷熊が活動を開始する前だったからだ。
この大陸には、他にも白鹿などがいる。
白鹿は比較的大人しい動物なので、この大陸の食用肉のほとんどに使われている。
2人が罠にかかっていて取ってきたのは、もちろん白鹿だ。
その帰り道、静かな白い世界を進んでいると――。
ガシャン、ガシャン。
という機械が軋むような音が聞こえてくる。
その音は次第に近づいているようだった。
プシュー、ガシャン、ガシャン。
そして、それは2人の目の前に集団で現れた。
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