プロローグ

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鹿ような大きな角が生え、下半身はギリシャ神話に出てくる半人半獣の種族――ケンタウロスような雪虎(スノー・タイガー)の四肢、上半身は青い体毛で(おお)いつくされていた。 その半人半獣の生き物は、残ったロボットに喰らいついて、ペッと部品を吐き出す。 スチームマシーンごと喰われた盗賊たちは、機械の破片と一緒にバラバラになって、血と油まみれのまま白い雪の上に転がった。 「はッ、不味いな。やっぱ機械はダメだ。かといって人間なんて喰っても強くなれねえしよ」 バイオ・ナンバーの2人は恐怖で身を固くしていたが、即座に突撃銃――ステアーACRを拾って、半人半獣の生き物へと弾丸を撃ち込んだ。 だが、半人半獣の生き物の体は、突撃銃の弾丸を弾き返す。 「なんだよ、やる気出ちゃうな。そんなことされるとよ」 半人半獣の生き物は、雪虎(スノー・タイガー)の前足で、2人を蹴り飛ばした。 その攻撃で、2人の肩が切り裂かれ、腕が回転して宙を舞った。 半人半獣の生き物が現れてから、盗賊の集団とバイオ・ナンバーの兵士2人がいた場所は、雪で白かった地面が血で真っ赤に染まる。 肩を飛ばされた2人は、完全に戦意を失い、その場に尻餅をついていた。 「どうした? さっきの威勢はどこいったんだよ。もっと俺を楽しませろ」 半人半獣の生き物が2人へとにじり寄る。 「いたな……合成種(キメラ)」     
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