プロローグ

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半人半獣の生き物の後ろから、(つぶや)くような声が聞こえたかと思うと、突然大爆発が起きた。 そして、そこにはサブマシンガンVz61――スコーピオンを構えた小柄な少女が立っている。 黒装束に身を包み、この暗闇の中で義眼の右目だけが赤く光り、長い髪をシュリンプスタイルに束ねていた。 爆炎の中から姿を見せた半人半獣の生き物は、上半身の半分が吹き飛んでしまっている。 黒装束の少女は、素早く近づいて、半人半獣の生き物の傷口に向かってスコーピオンをフルオートで乱射する。 「クソッたれが!!! 人間(カス)のくせに、俺様に傷をつけやがったな!!!」 半人半獣の生き物は、怒りで我を忘れて黒装束の少女に掴みかかった。 だが、少女は目にも止まらぬスピードで動いて、それを避けた。 少女の動きと共に、シュリンプスタイルの長い髪が生きているかのようにうねる。 そして、腰に帯びていたナイフとサーベルの中間ほどの短い剣を抜いた。 その剣の名は――カトラス。 大航海時代、中南米で使われていた農耕用の鉈を改良した刀剣類の一種だ。 短剣の部類に入るが、彼女の使うそれは刃が大きくかなりぶ厚い。 少女は、半人半獣の生き物へと走り出し、足の間を抜けて、アキレス腱辺りと太もも付近を切り裂いた。     
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