人気者の彼

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『え?まじか。久しぶりに連絡しようと思ったらアイツ、番号変わったってことか』 納得したように言ってため息をつく。 「だから、もうかけてこないでください」 なんか失礼な言い方になってしまった。 でも、知らない番号から毎日電話がかかってくるこっちの身にもなってほしい。 ──3年2組 片澤(かたざわ)さん。職員室まできてください そろそろ話す必要もなくなった、電話を切ろうと口を開き掛けたそのとき、先生があたしを呼ぶ放送がかかる。 かかったのはいい。 問題はそれが、スマホからも聞こえて来た気がしたことだ。 「あ、あの!あたし呼ばれたので、行きまっ.......わ!」 彼にはこの放送が聞こえてないことを祈りつつ、早口で電話を切ろうとしたあたしの前に立ちはだかる背の高い人物におどろいて、途中で言葉が詰まる。 「『驚いた。同じ学校の子だったんだ』」 耳にあてたままのスマホから聞こえてくる声と、目の前に立つ男の子の声とがリンクする。 「柏木(かしわぎ)、くん.......」
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