人気者の彼

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「.......ありがとう」 やっと言えたお礼の言葉。 小さくなってしまったけど、柏木くんの目が一瞬見開いたかは、ちゃんと聞こえたようだ。 「すぐに付き合って欲しいなんて言わないから、でも.......これからは俺とも話して欲しい」 「うん.......」 自分の気持ちはよくわからない。 でも、嫌じゃない。 「片澤さんのこと、アイツみたいに名前で呼んでもいい?」 「.......え?」 「いるだろ。クラスに」 「あぁ.......トシのことか」 トシというのは、兄弟同然に過ごしてきた幼なじみだ。 「片澤さんが男子の中で唯一話してて、ずっと羨ましかったんだ。俺の事も名前で読んで欲しかったりする」 少し頬を赤らめて、照れたようにいう柏木くんは可愛かった。 「うん、わかった。これからはそうしよう」 「いま、呼んでよ」 「え.......っと、瞬(しゅん)くん」 彼の名前は、柏木瞬だ。 他の子たちがいつも瞬くんって呼んでる。
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