人気者の彼

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「やった。嬉しい。ありがとう、陽菜(ひな)」 嬉しそうな顔をしたあと、少し照れた感じであたしのことを名前で呼ぶ。 「とにかく、番号変えてくれたトモに感謝かな」 「トモくんって人とはもう話せないじゃん」 「中学の同級生だし、そのうち話せるよ」 ずっとかかってきていた知らない番号からの電話。 出てみたら、まさかの柏木くんで。 あの電話に出てみてなかったら、今こうして瞬くんは目の前にはいない。 思い切って出てみて、よかったなって今日の自分を褒めてあげたい。 「俺、陽菜に好きになってもらえるように頑張るから」 「う、うん」 真っ直ぐな彼に、ドキドキさせられっぱなしだ。 きっと、あたしの気待ちはもう彼に向いている。 とくんと、胸が高まった。 この気持ちの名前をあたしはまだわからない。 でも、きっとすぐにわかる。 瞬くんに関しては、ゼロからのスタートなんかじゃない。 人気者の彼のこと、あたしだっていいなって思っていたんだから。 だから、かかってきた電話に出た自分に、新しい世界が見えてきた自分に。 今は感謝。 -Fin-
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