人気者の彼

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「ま、もう話すことなんてないか.......」 なんて、思っていたのは帰り道。 先生の用事も終わり、学校から出たあたしの制服のポケットの中でスマホが震えていた。 「え?この番号.......」 戸惑うのも無理はない。 それは、毎日かかってきていた番号だったから。 この番号は、もう知らない番号ではなくて。 同じ学校の人気者の柏木くんの番号。 「も、もしもし」 驚きを隠せず、声が上ずってしまう。 『なんか、緊張してる?』 なんて、彼はおかしそうに笑ってる。 「や、もう、かかってこないと思っていたからビックリして」 『こんなチャンス逃せないでしょ』 「チャンス.......?」 彼の言葉の意味がわからない。 トモという友達の番号だと思っていたのがあたしの番号で。 どこにチャンスがあるというのだろう。 『最初、声聞いてトモじゃないってはわかったんだけど、同時に仲良くなりたい子の声だって思ったんだ』 「え.......?」 仲良くなりたい子? 意味がわからなくて、歩いていた足がとまる。
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