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「理沙ちゃん、昔から髪さらさらだよねぇ。羨ましいなぁ」
「あ……ありがとう。弥生ちゃんは今日巻いてるんだね。髪。似合ってて、すごく可愛い」
「えへへ、ありがとっ。久しぶりに律君に会えるからね、気合い入れて頑張っちゃったっ」
ウキウキと、声と気持ちを弾ませながら、色素の薄いさらさらの髪をいじっていく。
触り心地がいいなぁ。そんなに傷んでない。きっとヘアケア頑張ってるんだろうなぁ。
一人で勝手に微笑ましい気持ちになりながら、柔らかい髪に淡いピンクの桜のかんざしを挿して、おだんごを作っていく。
そのタイミングで、ふと理沙ちゃんの左手が目に留まった。
「あ。そう言えば真白君は? さっきたまたま会ったんだよね。てっきり理沙ちゃんとこ行ったのかと思ってたのに」
「ああ……真白はチェスサークルのとこ行って、そこのサークルの部長さんと勝負してるんだって。勝ったら何か景品が貰えるみたい」
「へぇ……珍しい」
私がそう言うと、理沙ちゃんは黙ってしまって、微かに項垂れた。
しまった。触れちゃいけない話題だったのか。
でも本当に珍しい。真白君が理沙ちゃんをほったらかしにして一人で遊んでるなんて。さっき会った時、真白君の方も理沙ちゃんに会いたがってそうだったのに、急にどうしたんだろう。
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