理沙ちゃん

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 負けちゃった部長さんが、真白君に御祝儀袋みたいな白い封筒を渡す。あれが“豪華な景品”なのかな。お金なら“景品”より“賞金”って書いた方が正しい気がするけど。  平然と封筒を受け取った真白君は、ふと顔をこっちに向ける。  次の瞬間、珍しいものが見れた。  ガラス玉じゃなくなった、生気のある二つの()を見開いて。引き結んでた口もポカンと開けて。ただ一点を、私の隣を凝視しながら、真白君の表情(かお)が固まった。まるで呆気に取られたように。  真白君はそのまま早足で近づいてくる。そしたら、何故か私を盾にするみたいに、理沙ちゃんがサッと私の後ろに隠れた。 「え、理沙ちゃん? どうしたの?」 「真白、怒ってる……」 「へ? お、怒ってる?」 「何してるの」  意識を外してた角度から、真冬を思わせるような冷たい声が落ちてきた。  さっきまでチェスの試合を観戦してた人達の視線が、何やらこっちに集まってて。  気付けば私の真横にいた真白君は、他には目もくれず私達を──いや、ピンポイントで理沙ちゃんを睨んでた。 「りっちゃん。ここで何してるの」 「…………真白が、ここにいるって言ってたから、その、会いに……」 「人のいないところで待っててって言ったよね。何で約束破るの?」 「だって……寂しかったんだもん」  周りの注目を浴びてることには気付いてないのかもしれない。うつむいたままの理沙ちゃんは、震えそうな言葉でそう反論する。
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