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「あっ……ご、ごめんなさっ……!」
清楚で上品なワンピースを着た女の子が、私のすぐ傍に座り込んでて、青ざめた顔で泣いてる。どうやら私の背中にぶつかったのはこの子みたいで、彼女は何度も頭を下げた。
その拍子に、女の子の鞄から何かが音を立てて滑り落ちた。スマホだ。私のポケットからもうっかり落ちてたみたいで、よく見るとその傍によく似たスマホがもう一つ寝そべってる。
「おい、結菜っ! 待ってくれよっ!」
金髪の派手めな男の子が、険しい顔つきで駆け寄ってきた。
「ほ、本当に、ごめんなさいっ……!」
慌てた様子でスマホを拾うと、女の子は急いで立ち上がって、一目散に走っていく。まるで逃げるみたいに。
「待てってっ! 結菜っ!」
金髪の男の子も、走って彼女を追いかけた。
何か穏やかじゃないけど大丈夫かな。また余計なお節介を働かせつつ、私もスマホを拾う。
「…………ん? あれ?」
手にした物を見つめながら、私は首を傾げた。
「どうしたの?」
「何かおかしいの……待ち受け画面、設定してたやつと違う……」
理沙ちゃんにもスマホの画面を見せる。
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