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遼ちゃんのお家の前でドアを開けるのをためらうなんて初めてです。
遼ちゃん、昨日はどこに行ったの? どうして帰って来なかったの?
――誰と……会ったの?
こんな事、あたしが聞いたら遼ちゃん、嫌がるよね。あたしは遼ちゃんの彼女とかじゃないんだもん。
唇を噛んで立ち尽くしてしまった。その時、突然ドアが開いてあたしの顔にバン! とぶつかった。
「いたっ!」
「ひよ!? なにやってんだ、こんなとこで! 大丈夫か!?」
遼ちゃんがビックリしてあたしを見て、ドアにぶつけたおでこを撫でてくれた。
「あ、だ、大丈夫よ。あの、ね……ママがこれ」
ジーンズにパーカー、レザージャケット。突然現れた遼ちゃんにあたしはドキマギ。
「もしかして、ひまりさんの?」
うん、と頷く。
「ラッキー。今、コンビニ行こうと思ったんだ。うちのオバハン、息子の食事なんて何一つ用意してかねぇの」
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