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「ねえ、駕木くんはどうしたら黙っていてくれる?」
と香坂はまたブラウスに手をかけて、服を脱ぎだした。
「ええっ」
駕木は二度目の悲鳴をあげて、手をジタバタさせている。
止めたいのは山々だが、香坂の腕に触れることも気が引けた。
「まだるっこしいのは、嫌いなの」
香坂はブラウスを脱ぎ捨てると、今度はスカートのチャックを解いて、振り落とした。
下着姿になった香坂の、なまめかしく健康そうな白い肌を露わになる。
その透き通るような白さと、淡いブルーの下着が相俟って、なんだか神々しく見えた。
駕木は気が動転して、もう泡を吹きそうである。
すると香坂は、その身をピタリと駕木にくっつけて、駕木の頭を抱いたのだった。
「こ、こ、こ、こ……」
香坂さん、と言いたい駕木だったが、もはや緊張と硬直から言葉にならなかった。
全身が熱に包まれ、燃えているような錯覚さえ起きる。
だがそこで、香坂がきゅっと力を入れた。
それは愛情を演出しようとして、そうしたのかもしれないが……
このとき駕木の身体に、震えが伝わった。
一瞬のことであったが、それは自分の震えではなく、香坂の震えであった。
その一瞬で、駕木はまたたくまに冷静になった。
駕木は香坂の腕をぐっと掴んで、頭を引き抜いた。
そして身体を離すと、香坂を睨みつけながらこう言ったのだった。
「香坂、それはダメだ」
「えっ」
香坂はきょとんとしていた。
自分がなにを言われたのか、理解できていないようだった。
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