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#2 幼馴染なんてこわくない
起立! 礼! 着席! という日直の声に従うと、駕木は机に突っ伏した。
早朝からの雨で、服がベタついている。
気圧も低くて気怠い。
くわえて昨日のニワトリ騒動の疲労が、回復していなかった。
逃げたニワトリは、奇跡的に全羽捕まえることができた。
山本の長年の経験と勘がものをいったが――
駕木も路上で奮闘して、なんとか1羽捕獲することができた。
もとはといえば、追突事故にあって荷台のケージが壊れたのが原因だった。
幸い車のほうは、軽くオカマを掘られた程度だったので、走行可能だった。
しかし、警察や事故相手や保険屋と話をつけた山本の父は、ひどく疲れていた。
それでも途中で投げ出すわけにもいかない。
壊れたケージを修理して、捕まえたニワトリを入れから、ようやく車は出発した。
山本の家に着いたあとも、鶏舎の掃除をしたり、砂を替えたりと大変だった。
駕木が自宅に帰り着いたのは、日が暮れてからだった。
お風呂で汗と埃を流すと、ずいぶんさっぱりした。
きょう1日のことが夢だったようにさえ思えた。
なにはともあれ、無事に終わってよかったと、駕木がバッグを開けると――
ニワトリが1羽、すやすや眠っていた。
(――――!!?!?)
どうやって入ったのか、いつ入ったのかまるでわからない。
あわてて電話をすると、山本は笑っていた。
結局、今日はもう遅いから、明日の放課後に持っていくことになった。
とりあえず段ボールとタオルを用意して、眠るニワトリを入れておいた。
しかし、小動物がいるという緊張からか、鶏舎の掃除に疲れたからか――
それとも、香坂との会話が、頭のなかで何度も繰り替えされたからか――
頭痛がして、寝つけなかった。
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