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「色男だね、駕木くん」
東郷湊は聡明なる女傑として、この高校に君臨する3年生である。
駕木と家込が萎縮するなか、
「聞きつけるのが早いのね」
香坂が悪態をついた。
東郷は有閑な素振りで机に近づくと、片肘をついて香坂を威嚇した。
悦に入ったその態度は、宝塚の男役を思わせた。
「見てごらん、駕木くんがすっかり混乱している」
駕木にはもう思考力がほとんど残っていないかった。
けれども東郷は、駕木を救うどころが、追い打ちをかけることを言うのだった。
「彼女たちが、いったい何について話していたか、教えてあげよう?」
「ふへ?」
「彼女たちは――ドラゴンの話をしていたんだよ」
「……ドラゴン――」
駕木の目は点になり、残されていた思考力も底をついた。
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