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5分程歩いて、生徒会室へと着いた俺は生徒会室のドアを開ける。 ドアから少し離れた所に俺がいつも座っている机がある。椅子が窓に向いているが気にせずに、机へ整理する書類を置く。そこで椅子に向かって声を掛ける。 「・・・。何か用か?」 俺が少し呆れながら声を掛けると、椅子が俺の方に向いた。そこに座っているのは幼馴染みの舞加だった。 「んもー!ビックリしてくれないー!」 少しむくれながら、椅子から降りる舞加。 久遠 舞加(くおん まいか)。俺と同じガマを退治する一族の1人。舞加はサポート側の一族で俺のパートナーだ。 容姿端麗・才色兼備などと言った言葉がよく似合う程の可愛さがある。(可愛いなんて本人には言わないが・・・) 「人の気配に気付けなかったら、仕事に問題が出るだろうが。」 俺は一言言いながら、舞加の頭を「ポン」と軽く叩きなから、椅子に座った。 舞加とは身長差がある。俺は180 cm位。舞加は165cm位。 「むー。分かってるけど~。あーちゃん、冷静すぎだよ~!」 “あーちゃん”とは、舞加が俺を呼ぶ時の呼び名だ。俺の名前が“あらた”だから、“あーちゃん”。子供の時から変わらない。 俺と舞加・あとは俺と親しい人しか使わない呼び名だったりする。 ただ、舞加も気を使ってくれて人前では使わない。 舞加は叩かれた所に手を置きながら、文句を言った。 「すぐこの書類を片付けるから少し待っててくれ。何か飲むか?・・・コーヒーぐらいしかないけど。」 舞加の不機嫌を直そうと話題を変えたつもりで飲み物が置いてある棚へ移動したが、舞加が好む“紅茶”が無かった。俺は内心、焦っていた。 「いいよ。私があーちゃんのコーヒーをいれてあげる。私は紅茶がなくても大丈夫だよ。・・・なぁに?私のご機嫌取りぃ?」 内心をつかれた俺は、言い返す言葉が見つからなかった。舞加は、それも分かって俺をからかってくる。クスクスと、笑いながら舞加はコーヒーをいれ始めた。 「なら、頼んだ。早くこの書類を片付けて帰らないとガマが出てくる時間になるからな。・・・ありがとうな。」 色々な意味を含んだ“ありがとう”。これは舞加にしかわからないと思う。書類に手をつけ始めると舞加から“どぅいたしまして”と言う言葉が聞こえた。それが聞こえた俺の口元が緩んだのは内緒の事だった。
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