0人が本棚に入れています
本棚に追加
呆然と立ち尽くす私に、その奇妙な姿の男はにっこりと微笑みながら、自分は未来……25世紀から私を迎えに来たといった。
「私たち“才能救出公社”は、埋もれた才能をスカウトするのが仕事なんです」
「う、埋もれた、なんだって?」
「才能です」
「はあ?」
「そうですね。たとえば、飛行機がない時代に生まれた天才パイロット。外科手術が行われていなかった時代に生まれた、天才外科医。彼らの多くは、自らの才能を開花させるチャンスを与えられないまま無能者、せいぜい普通の人間として生涯を過ごすしかなかったわけです。どうです、もったいない話だとは思いませんか?」
「それがどうしたっていうんだ?」
「実は、あなたにも埋もれた才能があるんですよ」
「才能?」
「はい。超空間ワープドライブ航法の才能です」
「……」
絶句するしかない。
「光速を超えて移動する宇宙船の操縦技術です。この能力を持つ者がいないと、宇宙船を安全に航行させることができないのです」
「……」
「しかし、この能力を持つ者は25世紀にも数えるほどしかいません。おかげで宇宙進出は滞るばかり。そこで私たち才能救出公社が、過去の人材の中から発掘・スカウトすることにした、というわけです。おわかりいただけましたでしょうか?」
「……」
だめだ。さっぱりわからない。
最初のコメントを投稿しよう!