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小学校のときのあだ名は「グズハラ」だった。私の姓は楠原だが、あまりにもグズだったために自然にそう呼ばれるようになった。
とにかく、なにをやってもだめ。スポーツもだめ。音楽もだめ。勉強も……数学がなんとか普通だったことを除けば、他は全部だめ。だから、ずっとイジメられてきた。
担任の教師は、
「いいですか、みなさん。楠原くんをバカにしてはいけません。誰でも秘められた能力、秘められた才能を持っているんです」
とたびたび説教したが、クラスメートは目を伏せたまま苦笑いするだけだった。当然だ。だって私自身、その空虚な説教に苦笑いするしかなかったのだから……。
結局、その後もなにひとつまともにできることはなく、進学も就職も失敗ばかり。いまは短期のアルバイトでなんとか食いつないでいるものの、将来が見えない。生きていく希望がない。
だから、私は樹海へ向かった。
さよなら、グズな私。さよなら、ろくでもない世界。
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自分の首にロープを巻き付けて大きく息を吸い込んだそのとき、目の前にまばゆく光るカプセル? のようなものが現れ、中からジャンプスーツを来た男が降りてきた。
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