1分で読めるショートショートです。

1/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ

1分で読めるショートショートです。

小学校のときのあだ名は「グズハラ」だった。私の姓は楠原だが、あまりにもグズだったために自然にそう呼ばれるようになった。 とにかく、なにをやってもだめ。スポーツもだめ。音楽もだめ。勉強も……数学がなんとか普通だったことを除けば、他は全部だめ。だから、ずっとイジメられてきた。 担任の教師は、 「いいですか、みなさん。楠原くんをバカにしてはいけません。誰でも秘められた能力、秘められた才能を持っているんです」 とたびたび説教したが、クラスメートは目を伏せたまま苦笑いするだけだった。当然だ。だって私自身、その空虚な説教に苦笑いするしかなかったのだから……。 結局、その後もなにひとつまともにできることはなく、進学も就職も失敗ばかり。いまは短期のアルバイトでなんとか食いつないでいるものの、将来が見えない。生きていく希望がない。 だから、私は樹海へ向かった。 さよなら、グズな私。さよなら、ろくでもない世界。 ------- 自分の首にロープを巻き付けて大きく息を吸い込んだそのとき、目の前にまばゆく光るカプセル? のようなものが現れ、中からジャンプスーツを来た男が降りてきた。     
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!