3人が本棚に入れています
本棚に追加
「やっぱりプロポーズの言葉が大事やと思うねん」
彼女の言葉に男は納得いったように小さく頷いた。
「ああ、俺の味噌汁を一生作ってくれってやつ?」
「はは、古いよ」
「やっぱり?」
「あと、キモい」
「言いすぎやろ」
言われ慣れているのか言葉とは裏腹に彼の態度は冷静そのものだった。
「とにかく!プロポーズの言葉を私が考えてきたから!」
「普通逆やと思うけど…。まあ、いいや聞かせてくれよ」
諦めたように男がそう呟くと、女は得意満面といった顔を一瞬見せると、すぐにやや熱のこもった表情へと変貌させた。
「俺のポンデリングを一生作ってくれ」
「ポンデリング好きやなあ!いや、ドーナツだけでも手こずるのにあんな高等な形したもん作れるか!」
「クックパッド使ったらいけるって」
「現代っ子ぉ!いや、そうやなくて、そもそもそれプロポーズの言葉ちゃうから」
ややがなるように男が言うと、女はまたしても仏頂面になって唇を尖らせた。
「じゃあ、他にどんなんがあるん?」
そう言われても…と男は困ったように自分の顎を触る。
「そりゃ例えば…俺のパンツを洗ってくれないかとか…」
「はは、ダサいよ」
「やっぱり?」
「あと、生理的に無理」
「そんな奴と結婚すんな」
男の弱々しいツッコミだけが部屋の中に響く。
最初のコメントを投稿しよう!