新しいプロポーズ

8/8
前へ
/8ページ
次へ
彼の言葉に彼女は笑い出した。しかし、その目には微かに涙が浮かんでいる。 彼女は彼に抱きついた。そしてその胸元で小さく呟いた。 「よろしゅう頼んます」 彼女のヘンテコリンな関西弁に、彼は照れ臭そうに笑った。 「なんやねん、そのへんな関西弁」 気がつくと、二人は一緒に笑っていた。そして、その笑い声がテレビから聞こえてくる笑い声と重なって、またしても彼らの中で笑いが溢れた。 きっと笑いの絶えない家族をこれから構築するであろう夫婦のスタートが、今この場所から切って落とされたのだった。 …さて 「漫才方式のプロポーズ」というなかなかに斬新なものを見させていただいたわけだけど。 それを人んちのコタツにくるまって、しかも家主が見ている前でやってのけてしまうこのバカップルの自由さを一体どうしてくれよう。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加