なにもの

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「なにか使えそうな道具ないか探してくる。ちょっと待っててくれ。」 俺は五所川原にそう告げ、物が散乱している部屋に向かう。 スイッチを押し、電気をつけるとその惨状に暗澹として気分になる。 「針金とかねえかな……」 ゴミをよけながらなにかないかと探す。 ハンガーがついたままの状態の服がその辺に散らばり、部屋を余計汚くみせている。 その服のサイズからして、五所川原は大柄のようだ。 声の高さからして、小柄な男のイメージだった。 五所川原はどんな男なのだろうか、こんな状況にも関わらず写真を探してみる。 するとあっさりと五所川原の写真が見つかった。 角刈りの彫りの深い顔をしたスポーツマンのような男だった。 意外すぎる顔に驚きつつ、こんな悩みなんてなさそうなやつが俺と同じ空虚さを感じていたなんて人は見かけによらない思う。 こいつと友達になれるかな、そんなことを思いながら俺は写真をテーブルの上に置いた。 俺は気を取り直して部屋で使えるものを探していると、あるものを見つけた。 「……スマホ?」 そこにはスマホが充電ケーブルに繋がれあった。 失念していたが、五所川原のスマホを借りればよかったのだ。 「そうだ、あいつのスマホで検索・・・・・・」 俺はそれを手にとり電源をつける。 しかし指紋認証が設定されており、それ以上どうすることもできなかった。 「…‥そうだ。」 俺はすぐさま五所川原の前に戻り、トイレの扉と床に隙間がないか確認する。 2cmほどの隙間があり、スマホを投げ込むことができそうだった。 「五所川原、スマホを見つけたからお前に渡すわ。それで検索してくれ。」 「え!お前がしても……」 「指紋認証がかかってんだ、よろしく頼む。」 「お、おう……」 なぜか慌てた様子の五所川原を不思議に思いつつ、俺はスマホを投げ込む。 すると何かが動く音が部屋に響く。 どうやら五所川原は何か動かしているらしい。 トイレになにかあるのだろうか。 そういえば、先ほど汚部屋に入ったせいだろうか異臭が強くなった気がする。 鼻をくんくんと嗅いでいると、五所川原が声をあげた。
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