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雪で作られたアートたちは想像以上に幻想的だった。僕は隣にいる彼女の手を繋いだまま、転ばないように歩く。手を繋ぐことに慣れてきた彼女は手を引っ張った。
「どうかしたの?」
「あれ。」
彼女が指差す先にはその場に似合わない、小さな雪だるまがあった。どこかの子供が作ったのだろうか?
「それがどうかしたのか?」
彼女は残念そうな顔をした。
「やっぱり覚えてないよね…」
「僕の過去に関係することなのか?」
どこか遠くを見ながら話し始めた。寂しいとかというよりは、恥ずかしいからこっちを見ないという感じだった。
「奏汰くんは覚えていないかもしれないけど、私は奏汰くんと小学校の時から仲良くしてもらっていたの。言うタイミングがなくて言えなかったの。」
僕がこの話に興味を持っているか確認するように僕を見る。無言でうなずくと、続きを話始めた。
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