覚えていなくても

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「小学校の時私はいじめられていたの。よくあるちょっとムカつくから見たいな感じだった。手を差しのべてくれてたのは、奏汰くんだけだった。奏汰くんは私がクラスにとけ込めるように動いてくれた。小学校最後の冬休みにあなたは雪だるまを作ってくれたの。私のために。深い意味はないって言ってたけど、私のために作ってくれたんだなと思うと嬉しくて嬉しくてたまらなかった。だからあなたが迷惑だと思わなければずっと一緒に居たいと思ったの。だから何で側に居てくれるのだろうと思っていたかもしれないけど、それはあなたがしてくれたことに対する恩返しなの。」 僕は嬉しかった。よくよく考えるとちゃんと言ってなかったかもしれない。 「莉央、君のことが好きだ。迷惑だなんて思うわけないだろう。だから僕と付き合ってください。」 顔を真っ赤にして涙を止めることが出来ない彼女は小さくうなずいた。思い出の雪だるまと、僕が大好きで、かつ僕を好きでいてくれる人。これほどに幸せなことはない。それはとても壊れやすい繊細なものだった。
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