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退会とはなんだろう?そんなものに参加していたか?僕は考えていくうちにあることに気付いた。最後の記憶が高校の卒業式で止まっている。僕は記憶喪失らしい。あのメモの意味を知るためにはまた彼女が来るのを待つしかない。
次に彼女が現れたのは二日後だった。今度は花やリンゴを入れた袋を持っている。
「元気にしてた?私はいつも通り元気だよ。」
僕は「こんにちは」とだけ言って一度話を切った。
彼女はリンゴを剥くと言い、切り始めた。作業をしている彼女に話しかけた。
「この前渡したメモのことを教えてください。」
包丁を置いた彼女は僕の方を向き、苦しそうな顔をした。
「教えたいのは山々なんだけど…。」
少し考えてから彼女は手を叩いた。
「そうだ。奏汰くんが退院したら私が世話をしよう。ご飯を作ったり、部屋の掃除とかしないと。」
「ちょっと待ってくれ。僕の家で暮らすつもり?」
首をかしげていった。
「駄目なの?」
「駄目じゃないけど…」
「じゃあ決定ね。」
明後日退院するのにまだ気持ちの整理がつかない。知らない同じくらいの年の女の子と一緒に暮らすなんて。彼女は僕を守るためにこういう提案をしたのだ。でもこの時の僕は浮かれていた。
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