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起きたときにはあんなに明るかった日差しが嘘のように赤黒く染まっていた。
「やっと起きたの?何回も起こそうとしたんだよ。」
エプロンを着けた彼女が水と市販のパンを持ってきた。
「お腹空いてない?食べて。」
「ああ、ありがとう。」
僕はふと思い付いた疑問を口にした。
「さすがに一緒の部屋で寝ないよな?」
彼女の顔はリンゴのように真っ赤に染まった。
「馬鹿じゃないの?さすがにそこまでしません。私をなんだと思ってるの?」
おかしくてつい笑ってしまう。心のそこから彼女の前で笑えたのはこれが初めてだ。
「笑わないでよ。恥ずかしいじゃん。」
照れ臭そうな彼女を見ているとなんだか懐かしい気分になった。もしかしたら本当に僕と彼女は知り合いで、こんな風に毎日笑っていたのかもしれない。そうであってほしい。
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