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彼女はそのまま続ける。
「お金は集まったけど手術するお金が集まる前に亡くなってしまったの。あなたは何にも関心を向けることはなくなったわ。集団のなかで亀裂が生まれ、何回か殺されそうになる。そしてあなたが事故にあう…大雑把に説明するとこんなところ。」
彼女は僕の様子を確認するように控えめな声で聞いた。
「この話を聞いてどう思った?」
「一番の感想はすっきりした、かな?たくさんの疑問を持ちながら生活していたからさ。集団の中で亀裂が生まれた、って言ったけど、僕を心配する辺り僕の側についてくれていたんだろう?ありがとう。」
彼女はふっと笑った。
「昔のあなたにも言われたことないよ?どういたしまして。」
つい首の後ろを掻いてしまう。
「なんかごめん。」
「そういうところはあまり変わってませんね。だから好きだよ、あなたが。」
冗談めかして言っているが、心がこもっていた。心の中から何か得たいのしれないものが出てきそうだった。だけど空っぽだった僕の心に何かあるのであれば何だろうかまわない。
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