四章/縁結び

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晩餐会の席で王女自身が母に盛られた毒のことを口にして、その場の空気が凍り付いたのは言うまでもない。 しかし、それだけでは気は収まらず、宴を開く時間や人手があるのなら、彼等を動かして一刻も早く犯人を見つけるように父親に直談判したのだが、王女の苛立ちは幼い王子を抱く第2王妃に向けられた。 目の前に用意された食事をわざと第2王妃に向けて払い飛ばし、国王はこれを浅ましい行為だと憤慨。聞く者を震え上がらせる怒号を浴びせ、娘の頬を張り飛ばした。 宴は中止。早々に国王は退席し、第2王妃も付き人を伴い席を立った。残された者達の視線はこの日の主役であるはずのセシルに向けられたが、可愛らしい顔は赤く腫れ上がり、顔は涙と怒りで大きく歪んでいた。 王女はテーブルに残った食器をすべて床に落とし、積み上げられた献上品を処分するように女官へ命じた。いくら兄が宥めようと、幼い王女が受けた恐怖と屈辱は消えない。 「こんなものいらない! 燃やして! 何もかもすべて燃やしてよ!!」
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